■積立投資を続けた場合の簡易モデル
この記事では、毎月の投資額と想定利回りに焦点を当て、その変動による必要資産額到達年数を、簡易的にシュミレーションしてみます。(投資先はS&P500指数に連動するインデックスファンド)
年間生活費については、FIRE達成が、より現実的な250万円(単身世帯)と300万円(家族世帯)とします。
●年間生活費250万円
(必要資産額6,250万円)
| 毎月積立額 | 想定利回り3% | 想定利回り5% | 想定利回り10% |
| 3万円 | 60.9年 | 45.4年 | 29.2年 |
| 5万円 | 47.3年 | 36.6年 | 24.5年 |
| 10万円 | 31.4年 | 25.7年 | 18.3年 |
| 15万円 | 23.8年 | 20.2年 | 15.0年 |
| 20万円 | 19.3年 | 16.7年 | 12.9年 |
●年間生活費300万円
(必要資産額7,500万円)
| 毎月積立額 | 想定利回り3% | 想定利回り5% | 想定利回り10% |
| 3万円 | 66.1年 | 48.8年 | 31.0年 |
| 5万円 | 52.0年 | 39.7年 | 26.1年 |
| 10万円 | 35.2年 | 28.4年 | 19.9年 |
| 15万円 | 27.1年 | 22.6年 | 16.5年 |
| 20万円 | 22.1年 | 18.9年 | 14.2年 |
上記2つの表を見て、どう感じましたか?
FIRE達成のために現実的なラインという視点で見れば、若い方でも
・毎月積立額10万円以上
・想定利回り5%以上
が必要なラインに見えますよね。
想定利回り5%で、毎月10万円以上を投資しても、必要資産額到達までに25年から30年もの期間を要するというのは、かなり厳しいシュミレート結果であるのは間違いありません。
ただし、希望はあります。
もう一度、上の表をご覧下さい。
年間生活費250万円と300万円では、必要資産額に1,250万円もの差があるにも関わらず、達成期間にそれほど差がないのが分かると思います。
この要因のひとつに「複利効果」があります。
●複利とは?
複利とは、元金だけでなく、元金から得た運用益にも利益が生じる仕組みです。
例えば、
・1年目:100万円分の投資信託が運用の結果5%の利益を得た(合計105万円)
・2年目:105万円分の投資信託が運用の結果5%の利益を得た(合計110万2,500円)
というように、利益が利益を生む状態です。
そして、複利効果は、投資年数が経過するにつれて大きく効果を発揮。雪だるま式に資産増加スピードが加速して、後半になるほど資産が急増します。
よって、生活費6,250万円と7,500万円では約20%もの金額差がありますが、複利成長の後半に乗ってしまえば、資産が大きく膨らみ、その差を埋めるのにそれほど長期の時間は要しないということです。
●複利効果を強める
では、話を戻しましょう。
上記シュミレーションでFIREを目指すには、とても厳しい結果が出た訳ですが、総投資金額を変えずに、達成年数を短縮する方法が実はあります。
それは「資産形成の序盤に多く投資する」ことです。
投資総額は同じでも、より早期にまとまった金額の投資信託を購入することで、より大きな複利効果を受けることができるのです。
例えば、シュミレーションにおける生活費250万円、想定利回り5%の場合で、
・最初の5年間は積立金額を倍にする
・その後は元の定額積立に戻す
・投資総額は変えない(序盤に多く投資した金額分、早めに入金を止める)
この条件でシュミレーションした結果は、下表のとおりです。
| 毎月投資額 | 元:達成 | 最初の5年間倍:達成 | 差 |
| 3万円 | 45.5年 | 41.6年 | 約4年短縮 |
| 20万円 | 16.7年 | 13.5年 | 約3.2年短縮 |
このように、毎月投資額に関わらず、どちらのケースでも大幅な期間短縮です。
その他全てのケースでも例外なく期間短縮されます。
さらに、多くのケースでは、上記シュミレーションの「総投資額は変えない」という条件のため、必要資産額を達成した後も入金を続け、全て入金を終えた時点では、元の定額積立より数百万円から数千万円上振れします。
つまり、序盤に投資額を増やす。ただこれだけの行動で、数千万円の資産を築くことができる可能性があるのです。
加えて、本シュミレーションの投資先である、S&P500指数(インデックスファンド)の過去平均利回りは約10%です。
これらの事実を踏まえて、もう一度先の表を見てみると、見え方が変わってくるのではないでしょうか。
■まとめ:「より早く、より多く、より長く」投資することがFIREへの近道
本モデルでは、株式(投資信託)の利回りを毎年一定の値で計算しています。
しかし、実際の株式相場は、大きなうねり(トレンド)と、小さなさざ波(短期的な値動き)が重なり合いながら、上下に大きく動くもので、さらには長期であっても必ず上昇する(資産が増える)という保証はありません。
つまり、本シュミレーションはあくまで「簡易」であり、資産形成のイメージを掴んでもらうためのものです。
とはいえ、世界的に人口は増加、経済は成長を続けている現代資本主義の時代にあって、株式が少なくとも過去と同等程度に成長していくと考えるのは、決して楽観ではないと私は考えています。
よって、シュミレーションに近い結果が出る可能性は十分にあるのではないでしょうか。
最後に、本記事で私の伝えたかったことをまとめて終わります。
・積立額と利回りで必要資産の到達期間は大きく変わる
・資産形成後半は、複利の力で資産の増加速度が加速する
・序盤にまとまった金額を入れると有利