資産形成の話題になると、必ずと言っていいほど登場するのが「高配当株投資」です。
特に日本の高配当株投資は、
・配当金が定期的に入ってくる安心感
・為替リスクがない
・日本企業を応援できる
といった理由から、多くの方に支持されています。
確かにこれらの主張には一理あります。
しかし、資産形成期において、特にFIREを目指す人の目的は何でしょうか。
それは「配当を受け取ること」ではなく「資産をより早く最大化すること」のはずです。
※ここでいう日本高配当株は、個別株を指しています。
■「人は合理的ではない」は高配当株投資を選ぶ理由にはならない
「高配当株投資(アクティブ運用)はインデックス投資に運用成績でほぼ勝てない」
それは、投資のプロである金融業界のファンドマネージャーであっても例外ではありません。
10年以上の長期においては、約9割のアクティブ運用商品が、指数(インデックスファンド)に負けるといわれています。
このような事実が前提としてある中で、
「人は感情をもつ生き物であり、完全には合理的に動けない」
この言葉を根拠に、高配当株を勧める方は少なくありません。
含み益が増えてもキャッシュフローに変化のないインデックス投資よりも、配当金という「目に見える成果」のある高配当株の方が投資を続けるモチベーションを保ちやすい。
取り崩し期に、売却する必要のあるインデックス投資よりも、配当を自動で受け取れる高配当株投資の方が心理的に接しやすい。
といった論調ですね。
ですが、ここで一度立ち止まって考えてみて下さい。
「合理的でいられないから、効率の悪い手段を選ぶ」
これは本来克服すべき課題であって、非効率な投資を正当化する理由にはならないはずです。
■日本高配当株を選んだ理由は、本当に「目的」に合っていますか
もし、あなたがインデックス投資でなく、日本高配当株投資を選んでいる理由が、
・心理的に続けやすいから
・FIREの進捗状況が目に見えて分かるから
・不況時に株価が急落しても、配当金の減配は限定的で比較的安定しているから
・株価下落時に配当金を使って買い増ししたいから
・外国株インデックス投資だけでは為替リスクが怖いから
・FIREの先人たちが日本高配当株を推奨しているから
こういったものであるならば、それは高配当株投資をするための、理由を後付けしているだけかもしれません。
ちなみに上に挙げたものは、全て私自身が高配当株投資をしていた時の理由付けです。
■とにかく合理的に考えてみる
感情論はとりあえず横に置いて、今一度冷静に考えてみて下さい。
・あなたの保有している日本高配当株は、長期的にインデックス投資を上回る成長が見込めますか?
・配当金は一部利益確定しているだけ、という理屈を理解していますか?
(配当金の原資は企業の利益。配当を出せばその分、企業価値を毀損する。権利落ち日には基本的に配当分株価が下落する。)
・プロでも指数に9割負けるアクティブ運用で、株価下落に備えるのは合理的ですか?
・為替リスクは、10年、20年と長期で見たときに、本当に恐れるほどのリスクがありますか?
・配当を受け取るたびに約20%の税金を支払うことが、どれほどの機会損失になるか理解していますか?
高配当株投資は、受け取るたびに複利の芽を自ら摘んでいる投資でもあります。
■「NISA口座なら税金がかからない」も高配当株投資を正当化する理由にはならない
「NISA口座なら配当金に税金はかからない」
これは事実です。
しかし、NISAには明確な制約があります。
・成長投資枠は1,200万円が上限
・枠を埋めれば、それ以上の入金はできない
高配当株投資は、NISA投資枠から、配当金として切り崩しをしているといえます。
一方、インデックス投資は、投資枠を埋めた後も、ファンド内で延々と配当金の再投資を続けます。
つまり、両者には、限られた非課税枠を「配当で切り崩すのか」「成長に最大限使うのか」という違いがあります。
資産形成期において、この非課税枠は「配当」よりも「成長」に使った方が、長期的なリターンはずっと大きくなります。
■高配当株投資も有力な選択肢
誤解してほしくないのは、私は高配当株投資を否定している訳ではありません。
・キャッシュフローの安定が最優先の人
・精神的満足を重視する人
・配当、株主優待を楽しみながら資産形成したい人
・そもそも目的が資産の最大化ではない人
こういった方にとっては、十分に高配当株は選択肢になり得ます。
あくまで、資産の最大化を目的とするならば、その効率はインデックス投資に劣る、ということです。
■資産の最大化という観点では、答えは明白
税制、成長率、複利効果、分散、手間。
どの角度から見ても、
「資産の最大化を目的とするならば、インデックス投資が最善である」
この結論は、揺らぎません。
■まずは「目的」を再確認しよう
投資手法を選ぶ前に、今一度考えてみて下さい。
「自分は何のために投資をしているのか」
・キャッシュフローを強化したいのか
・配当・株主優待で精神的充実を得たいのか
・資産を最大化したいのか(FIREしたいのか)
もし、その答えが「資産の最大化」であるなら、あなたにとっての最適解は、合理性に基づいたインデックス投資であるといえます。
人は感情的な生き物ですので、意識していないと非効率な行動を取りがちです。
目的に対して、より合理的に考え、最も適した手段を選んでいきましょう。